こんにちは!今回は、新たなスタートを切ったtimeleszの所信表明とも言える楽曲、「We’re timelesz」の歌詞をじっくりと読み解いていきたいと思います。
今回の謎
この歌詞を読み解く上で、特に考えさせられる謎が3つ浮かび上がってきます。
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そもそも、彼らはなぜ自らを「timelesz」と名乗るのでしょうか?
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「We’re timelesz」で高らかに宣言される「今こそ変える概念」とは、一体何を指しているのでしょうか?
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「We’re timelesz」の歌詞の随所に現れる、メンバーの弱さや繊細さを示す描写は、なぜこれほどまでに赤裸々に歌われるのでしょうか?
これらの謎を胸に、彼らが紡ぐ言葉の海へ一緒に漕ぎ出していきましょう。
歌詞全体のストーリー要約
この楽曲が描く物語は、大きく3つのステップで構成されていると解釈できます。
イントロで「We’re timelesz」と名乗りを上げ、リスナーを自分たちの世界へ誘います。続くバースでは、8人のメンバーがリレー形式で、それぞれの個性、魅力、そして内に秘めた覚悟をラップに乗せて披露。これは単なる自己紹介ではなく、一人ひとりがtimeleszという物語の重要な登場人物であることを宣言するパートです。そしてサビでは、グループとしての決意、「概念を変える」ことと「茨道」を乗り越えていく覚悟を力強く歌い上げ、未知の未来へと突き進む姿を描いて物語を締めくくります。
登場人物と、それぞれの行動
この歌詞の登場人物は、timeleszのメンバーである8人です。
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既存メンバー(菊池風磨、佐藤勝利、松島聡):グループの土台を支えつつ、新たな仲間を迎え入れ、共に未来を切り拓く覚悟を示す。特にラップパートでは、新メンバーをリスペクトを込めて紹介する役割を担っています。
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新メンバー(寺西拓人、篠塚大輝、橋本将生、猪俣周杜、原嘉孝):それぞれの個性と背景を背負い、timeleszという新たな航海に加わる決意を表明。彼らの紹介パートは、これからの活躍を期待させる力強いアピールとなっています。
彼らは、ラップという手法を用いて互いを紹介し合い、グループとしてのアイデンティティと未来へのビジョンを共有するという行動をとっています。
歌詞の解釈
それでは、歌詞を詳しく読み解いていきましょう。
新たな時代の幕開けを告げる号砲
冒頭、繰り返されるグループ名のコールと、「大きな波に乗らないか?」という問いかけ。これは、新しいtimeleszの始まりを告げる、自信に満ちたファンファーレです。リスナーをただの傍観者ではなく、この先の物語を共につくる「共犯者」として巻き込もうとする強い意志を感じます。ここから始まるのは、単なる音楽ではなく、一つのムーブメントなのだと。
音楽は、コード進行によってその表情を大きく変えます。もしこのイントロが、期待感を煽るような、少しずつ高揚していくようなコードで彩られているとしたら…。「3, 2, 1 Let’s go!」の掛け声は、まさにジェットコースターが走り出す直前の、あの胸が高鳴る瞬間のようです。
メンバー紹介という名の「誓い」
この曲の核となるのが、8人のメンバーを紹介するラップパートです。しかし、これは単なるプロフィール紹介ではありません。一人ひとりの人間性、背景、そして隠された覚悟までをも描き出す、壮大な絵巻物のような趣があります。
寺西拓人:国民の元カレという名の信頼
トップバッターは、多くの人の目を奪ってきた実力者。過去の思い出を呼び起こさせる、という表現は、彼がこれまでに築き上げてきたキャリアへのリスペクトを感じさせます。「国民の元カレ」というキャッチーなフレーズは、親しみやすさと同時に、多くのファンに愛されてきた歴史の証。努力の結晶、貝好き大将…ユーモラスな言葉の裏に、確かな実力と人柄が透けて見えます。
松島聡:繊細なアートとアイドルの強さ
静岡を背負い、ダンスとビスを愛する彼。ここで注目したいのは、「アートは自己紹介書」というフレーズです。彼の表現活動そのものが、彼の内面を物語っている。環境の変化という困難を乗り越え、それを感情としてアートに昇華させてきた彼の姿が目に浮かびます。大号泣するほどの繊細さを持ちながら、一度家を出れば完璧な「アイドル」で在り続ける。そのプロフェッショナルな姿勢は、King Gnuの楽曲「TWILIGHT!!!」で描かれる、終わりと始まりが混在する時間の中での葛藤と決意にも通じるものがあるかもしれません。

篠塚大輝:矛盾を抱えたジャイアントベイビー
「真面目に不真面目」という、矛盾した言葉で表現される彼。知性と威勢を兼ね備え、多くの人を虜にする一方で、感情が表に出やすい「ジャイアントベイビー」な一面も持つ。このアンバランスさこそが、彼の最大の魅力なのでしょう。タイトにカチコミ、という言葉からは、物怖じしない度胸と若さが感じられます。これからグループにどんな新しい風を吹かせてくれるのか、期待が高まります。
橋本将生:神からのギフトと人間味のギャップ
その流し目は神からの贈り物、とまで言わしめる圧倒的なビジュアル。しかし、その紹介はそこで終わりません。「デュフデュフ」という独特な笑い方、すぐに泣いてしまう繊細さ。完璧に見えるアイドルの、人間的な部分をあえて見せることで、彼の魅力はより一層深みを増します。このギャップこそが、ファンが彼から目が離せなくなる理由なのかもしれません。
サビに込められた決意表明(謎1、2への答え)
ここで挟まれるサビは、この楽曲、そしてグループ全体のテーマを凝縮した重要なパートです。
「Timelesz 今こそ変える概念」。
この「概念」とは何でしょうか。それは、これまでのグループが背負ってきた歴史やイメージかもしれません。あるいは、アイドルという存在に対する世間の固定観念かもしれません。彼らは、過去に縛られず、未来の可能性を自分たちで定義していくのだと宣言しているのです。これが、彼らが「timelesz」—時間に縛られない存在—を名乗る理由の核心でしょう(謎1への答え)。
そして、「茨道かき分けていく take it easy」。
困難な道であることはわかっている。しかし、それを悲壮感たっぷりに乗り越えるのではなく、「take it easy」—気楽に行こうぜ、と軽やかに歌う。この一見矛盾した姿勢こそが、彼らの新しい強さの形。この覚悟があれば、どんな困難も乗り越えていける。そんな自信が伝わってきます。彼らが変えようとしているのは、困難に立ち向かう姿勢そのものなのかもしれません(謎2への答え)。
猪俣周杜:計算された天然番長
チャラそうに見えるキャラクターは、もしかしたら計算かもしれない。でも、根は真面目で、はにかむ姿に多くの人が心を奪われる「重度な中毒」性を持つ。そんな彼のキャッチフレーズは「天然番長」。計算と天然、そのどちらもが彼の魅力であり、そのギャップが新たな流行を生むだろうという、メンバーからの強い期待が感じられます。
佐藤勝利:伝統を背負い、時代を占拠する覚悟
グループのセンターとして、象徴的な存在であり続けてきた彼。「顔面国宝」という称号は、もはや伝統芸能のよう。しかし、彼はその伝統を受け継ぐだけでなく、「この時代を占拠する」と野心を隠しません。本家を差し置いて、という挑発的な言葉選びは、彼が現状に満足せず、常に高みを目指していることの表れ。定食を食べてテンションを上げるという日常的な描写が、彼の人間味を際立たせています。
原嘉孝:熱さと繊細さがハラハラさせる男(謎3への答え)
灼熱、爆裂、タフネス。力強い言葉で紹介される彼は、その一方で驚くほど繊細。すぐに涙してしまう一面を隠さず、ファンをハラハラさせる。この「弱さ」とも取れる部分をあえて歌詞にすることは、彼の人間的な魅力を伝える上で非常に重要です。「もう泣いてないって笑ってる」というフレーズに、彼の不器用ながらも前を向こうとする強さが凝縮されています。
ここで、3つ目の謎について考えてみましょう。なぜ、松島さんや橋本さん、そして原さんのように、涙もろさや繊細さといった「弱さ」が赤裸々に描かれるのか。
それは、彼らが完璧な偶像であることをやめ、一人の人間としてファンと向き合おうとしているからではないでしょうか。弱さを隠さないことは、同時に、それを受け入れてくれる仲間やファンへの絶大な信頼の証です。傷つき、悩みながらも進む姿を見せることこそが、本当の意味で人の心を動かす。timeleszは、強さも弱さも全て抱きしめて進むグループなのだという宣言。これこそが、彼らが変えようとしている「概念」の一つなのかもしれません。(謎3への答え)
菊池風磨:王道を外れた司令塔の航海
最後に登場するのは、グループ全体を俯瞰する司令塔。彼がこれまで歩んできた道は、「王道」ではなかったのかもしれない。しかし、その経験こそが彼の深みとなり、グループを導く力となっている。ドッキリ企画での後悔をユーモラスに語りつつも、「次どこがいい? この航海」と未来を見据える。その言葉は、まるで船長がクルーに語りかけるかのよう。彼の優雅な佇まいの裏には、このグループをどこまでも遠くへ連れて行くという、燃えるような覚悟が秘められているのです。
この、仲間を信じて困難な航海に挑む姿は、SixTONESの「BOYZ」で歌われる、仲間との結束を力に運命を切り開く姿と重なる部分があります。

未来は「あなた次第」というメッセージ
楽曲の終盤、「まだ足りない あなた次第 in the night」というフレーズが投げかけられます。これは、彼らの物語がまだ未完成であり、その未来を創るのはファンである「あなた」なのだ、という力強いメッセージです。彼らは一方的にエンターテイメントを提供するのではなく、ファンと共に未来を「make it happy」なものにしていきたい。この共犯関係の呼びかけこそ、timeleszというグループの核心なのかもしれません。
「四の五の言わず goooooooo!」
理屈じゃない。ただ、ついてこい。そんな潔い叫びで、この新たな船出の歌は締めくくられるのです。
歌詞のここがピカイチ!:紹介ラップの新たな地平
この楽曲が特に優れているのは、単なるメンバー紹介ソングの枠を大きく超えている点です。通常、こうした楽曲は自分たちの長所をアピールするものになりがちですが、「We’re timelesz」では、各メンバーの「弱さ」や「ギャップ」、そして過去の経歴までをもリスペクトを込めて織り込んでいます。特に、既存メンバーが新メンバーを、新メンバーが既存メンバーをラップで紹介し合う(と解釈できる)構成は、彼らが既に対等な仲間として、互いを深く理解し合っていることを示しています。これは、新しい仲間を迎えるグループの「誓い」であり、ファンに対する誠実な「プレゼンテーション」でもあるのです。
モチーフ解釈:「涙」に込められた意味
この歌詞には、松島さん、橋本さん、原さんと、複数人のメンバー紹介で「涙」というモチーフが登場します。アイドルソングにおいて「涙」は、しばしば別れや悲しみの象-として描かれますが、この曲では全く異なるニュアンスを持っています。
ここで描かれる「涙」は、彼らの感受性の豊かさ、人間味の深さ、そして困難を乗り越えてきた証です。大号泣するほどの純粋さ、すぐに泣いてしまうほどの繊細さ、それらは決して弱点ではなく、人を惹きつける魅力として肯定的に歌われています。「もう泣いてないって笑ってる」というフレーズに至っては、涙を乗り越えた先にある強ささえ感じさせます。
この「涙」は、timeleszというグループが、完璧なヒーローではなく、傷つき、悩み、それでも笑って前に進む「等身大の人間」の集まりであることを象徴しているのではないでしょうか。その人間的な魅力こそが、彼らがこれから築いていく新しい時代の礎となるのかもしれません。
他の解釈のパターン
解釈1:これはtimeleszという名の「船」のクルー紹介ソング
菊池風磨さんのパートにある「この航海」という言葉を基点に、この曲全体をtimeleszという名の船の出航を描いた物語と解釈することも可能です。イントロの「Why don’t you ride this big wave?」は、まさに乗船への誘い文句。各メンバー紹介は、これから始まる大航海に挑む個性豊かなクルーたちの紹介です。司令塔(菊池)、伝統を継承する航海士(佐藤)、ムードメーカー兼アーティスト(松島)、切り込み隊長(寺西、篠塚)、船の宝(橋本)、謎多きコック(猪俣)、熱き機関士(原)…といった役割が見えてくるようです。サビで歌われる「茨道」は荒れ狂う海、「四方八方囲う boooooooom!」は嵐の到来を予感させますが、彼らは「take it easy」で乗り越えていく。この解釈では、楽曲全体が壮大な海洋冒険譚のプロローグとして響いてきます。
解釈2:ファンへの「公開オーディション」という見立て
この楽曲は、新メンバーが加入し、新たな体制となったtimeleszが、ファン(=審査員)に向けて行う「公開オーディション」である、と解釈することもできます。各メンバーのラップは、自分がこのグループにふさわしい人材であることをアピールするプレゼンテーション。「天上人です」「こいつがレペゼン静岡」「随一の知性」「神からの gift」といった言葉は、自らの強みを最大限にアピールする言葉と受け取れます。サビの「今こそ変える概念」は、オーディションという選抜のシステム、あるいはアイドルはこうあるべきだという既存概念そのものを、自分たちのパフォーマンスで変えてみせるという野心的な宣言になります。「あなた次第」という最後のフレーズは、「さあ、我々を選ぶか選ばないかは、あなた次第だ」という、審査員への最終的な問いかけ。この視点に立つと、楽曲全体に良い意味での緊張感と、選ばれることへの渇望が漂ってきます。これは、自己肯定を武器に常識を打破していくCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」の世界観にも通じる、スリリングな解釈と言えるでしょう。

歌詞の中で肯定的なニュアンスで使われている単語・否定的なニュアンスで使われている単語のリスト
肯定的なニュアンスの単語
timelesz, big wave, トップバッター, 結晶, 大将, dance, 感情, アート, so good day, アイドル, 真面目, 闘志, 知性, 威勢, 解放, ジャイアントベイビー, gift, 神, take it easy, boooooooom, 計算, 症状, 中毒, 流行, 番長, レッドカーペット, 顔面国宝, 伝統継承, 時代占拠, テンション, 定食, SHOW, 灼熱, 爆裂, タフネス, 瞳, 司令塔, 王道, 優雅, 概念, 茨道, a-ta-shi-da-i, make it happy, goooooooo
否定的なニュアンスの単語(文脈で肯定的に転じているものを含む)
噂, メンションしてね?, 大勝負, 変わった環境, 大号泣, 家出, 不真面目, 意地, 鬱陶しい, 時間ない, 態度に出やすい, すぐ泣いちゃう, チャラそうなキャラ像, 放蕩, もってのほか, 重度, そこどきな?, ちょいシャイ, 繊細, すぐ涙, 茶を濁す, ハラハラさせる, 泣いてないって笑ってる, 王道外れていた, しれっと, え、まだ言ってんの?, ディベート, ドッキリ, 後悔, まだ足りない, 未知, 四の五の言わず
単語を連ねたストーリーの再描写
噂のトップバッターたちが集結し、茨道の航海へ。
大号泣や後悔も、アートとSHOWに変え、
伝統を継承し時代を占拠する。
未知の未来を、あなた次第でhappyにする、優雅な挑戦だ。