歌詞全体のストーリー要約

- 感情の奔流と孤独: 激しい感情に翻弄され、孤独を感じる「私」。嘘をつきながらも、誰かに抱きしめられたいと願う。
- 自己の希求と他者への願い: 飾られる絵画ではなく、自分だけの「色」で描いてほしいと願う「私」。それは、他者からの理解と受容への切実な願い。
- 絶望と微かな希望: 過去の苦しみや現在の不安定さに苛まれながらも、「貴方」に自分の存在を探してほしいと願う。「私にしかない色」で描かれることを切望する。
登場人物と、それぞれの行動
- 私: 感情に揺れ動き、孤独を感じ、嘘をつき、愛や理解を求め、過去の苦しみに苦しみ、自己の存在意義を希求しています。誰かに「私だけの色」で描いてほしい、自分のために歌ってほしい、自分のそばにいてほしいと願っています。
- 貴方: 「私」がその存在を意識している相手。「私」は「貴方」に自分の部屋に絵画を飾ってほしい、自分の海岸を歩いてほしい、自分の影を探してほしいと願っています。
歌詞の解釈
1. 冒頭の激しい感情の描写
歌詞は、「震わせて 来る 狂わせて 捨てる 難儀に」という、強い感情の動きを示す言葉から始まります。これは、主人公「私」の内面で激しい感情の波が押し寄せ、自身を翻弄し、苦難の中にいる様子を表していると考えられます。「来る」「捨てる」といった能動的な言葉が、感情が一方的に押し寄せ、主体的に何かを断ち切ろうとしているようにも解釈できます。続く「羽 羽ばたかせ 千切れる もぐ 艶美に」は、自由を求めるような衝動と、それが上手くいかずに傷つき、内に潜り込むような様子が対比的に描かれているようです。「艶美に」という言葉が、そうした苦しみの中に一瞬見える美しさ、あるいは諦念のようなものを感じさせます。
2. 鐘の音と浄化への希求
「鐘 響くは街に また残酷に 禊の様に 洗う様に」というフレーズは、外界からの刺激(鐘の音)が、「私」にとって残酷にも響き、同時に何かを洗い清めるような、矛盾した感覚を与えていることを示唆します。「禊」という言葉から、過去の罪や穢れを洗い流したいという願望が読み取れます。しかし、それが「残酷に」と形容されていることから、その浄化の過程は苦痛を伴うものであることが示唆されます。
3. 孤独と嘘、そして隠された願い
「夢なら覚める頃 孤独にも慣れた あぁ また嘘をついた 誰にもバレないように 抱きしめてと 洩れないように」という部分では、「私」が孤独を感じながらも、それを隠そうとしている様子が描かれています。「また嘘をついた」という告白は、自己防衛のための行動であると同時に、誰かに気づいてほしいという裏返しの願望のようにも聞こえます。「抱きしめてと 洩れないように」という、声に出せない切実な願いが、孤独の中で静かに燃えているようです。
4. 自己表現への渇望と他者からの承認
「飾られる様な絵画にはなれなくても 私にしか無い色で 描いてほしい せめて私のためだけに 描いてほしい」という一連のフレーズは、この歌詞の中心的なメッセージの一つと言えるでしょう。「絵画」というタイトルがここで具体的に言及され、「私」は、誰かに飾られるような、ありふれた美しいものではなく、自分だけが持つ特別な「色」で描いてほしいと願っています。これは、表面的な評価ではなく、自分の本質を理解し、受け入れてほしいという強い希求の表れです。「せめて私のためだけに」という言葉には、他者からの承認を得られなくても良いから、せめて「貴方」には自分の存在そのものを認めてほしいという、痛切な願いが込められています。
モチーフ:「絵画」について
この歌詞における「絵画」は、単に描かれたものを指すだけでなく、「私」自身の存在や内面を表現するメタファーとして捉えることができます。「飾られる様な絵画」は、世間一般に受け入れられるような、型にはまった美しさの象徴でしょう。それに対して、「私にしか無い色」で描かれる絵画は、他にはない個性、ありのままの自分自身を意味すると考えられます。「私」は、そのような唯一無二の存在として、「貴方」に認識され、大切にされたいと願っているのです。
5. 再び繰り返される感情の波と新たな要素
「震わせ 来る 狂わせて 捨て ページ」という部分は、冒頭の感情の激しさを再び示唆しつつ、「ページ」という新たな言葉が登場します。これは、感情の波が一段落し、物語が次の段階へ進むことを暗示しているのかもしれません。
「花 咲くことも 知らずに散る フェミニン」というフレーズは、儚くも美しい存在のたとえのようです。「フェミニン」という言葉が、その儚さに繊細さや美しさを添えています。これは、「私」自身のことを指している可能性もありますし、あるいは「私」が共感する何かを表現しているのかもしれません。
6. 矛盾する願いと自己の受容
「誰にもバレないように 悲しませて 歓ばせてよ」という一見矛盾する願いは、「私」の複雑な内面を表しています。誰にも知られない形で、悲しみと喜びの両方を感じたいという欲求は、感情の振れ幅の中で生きている「私」のリアルな姿を映し出していると言えるでしょう。
7. 理想と現実のギャップ、そして依存への希求
「散らばった理想の海に 溺れる様な私を 最期までポイして欲しい 鮮やかに映す レンズには傷が目立つけど 私にしか無い理由で 縋っていて欲しい せめて私のためだけに 歌っていて欲しい」という部分は、理想と現実のギャップに苦しみ、自己嫌悪にも似た感情を抱えながらも、「貴方」に依存したいという強い願望を示しています。「ポイして欲しい」という言葉は突き放すようにも聞こえますが、「最期まで」という言葉が、その裏にある深い繋がりへの希求を物語っています。「レンズの傷」は、「私」が見る世界や自己認識の歪みを表しているのかもしれません。それでも、「私にしか無い理由で 縋っていて欲しい」「私のためだけに 歌っていて欲しい」という願いは、先ほどの「描いてほしい」という願いと同様に、他者からの特別な愛情と存在意義の肯定を求めています。
8. 自己否定と他者への依存
「誰かのせいに 誰かのせいにして 生きてゆけたら 楽なんだろうな」というフレーズは、「私」が自身の状況や感情の責任を他者に転嫁することで、心の平穏を得たいという願望を表しています。これは、自己肯定感の低さや、現状から逃避したいという気持ちの表れでしょう。
9. 過去の苦しみと他者への希求
「辛かった非凡と鬱に 呑まれていた 私の海岸を歩いてほしい 見せられぬ程 だらしない今日に明日に 私にしか無い色で描いてほしい せめて貴方の部屋に その絵画を飾ってほしい」という部分では、過去の苦しみ(「非凡と鬱」)に苛まれてきた「私」が、「貴方」に自分の内面(「私の海岸」)を理解してほしいと願っています。「見せられぬ程 だらしない今日に明日」という言葉は、自己嫌悪の念を表していると同時に、そのようなありのままの自分を受け入れてほしいという願いの裏返しとも解釈できます。再び出てくる「私にしか無い色で描いてほしい」という願いは、一貫して「私」の自己表現と承認への強い渇望を示しています。そして、「貴方の部屋に その絵画を飾ってほしい」という願いは、単に存在を認めてほしいだけでなく、常に自分の存在を意識していてほしいという、より深い繋がりへの願望を示唆しています。
10. 葛藤と許しへの願い
「虚しさが残る 血管を泳ぐ 不安のループに踊る 私を許して」というフレーズは、満たされない感情や拭えない不安に苦しむ「私」が、自己を肯定してほしい、あるいは現状から解放してほしいという願いを込めて「許して」と訴えかけているように聞こえます。
11. 再びの鐘の音と存在の確認
「また鐘が鳴る 冷えた部屋に残る 私の影を 貴方は探してくれる?」という部分は、冒頭の鐘の音を再び想起させ、孤独な状況が続いていることを示唆します。「冷えた部屋に残る 私の影」という表現は、孤独感や自己の希薄さを表しているのかもしれません。そんな中で、「貴方は探してくれる?」という問いかけは、相手に自分の存在を気にかけてほしいという、切実な願いが込められています。
12. 繰り返される願い
最後の「私にしか無い色で描いてほしい」というフレーズは、この歌詞全体を通して最も重要な願いであり、自己の存在意義と他者からの深い理解への渇望を改めて強調しています。
歌詞の中で肯定的なニュアンスで使われている単語・否定的なニュアンスで使われている単語のリスト
肯定的なニュアンスの単語:
- 羽ばたかせ
- 艶美に
- 禊
- 洗う
- 愛して
- 鮮やかに
- フェミニン
- 歓ばせて
- 楽
否定的なニュアンスの単語:
- 震わせて
- 狂わせて
- 捨てる
- 難儀に
- 千切れる
- 残酷に
- 孤独
- 嘘
- バレないように
- 散らかった
- 呑まれそうな
- 飾られる様な
- 散る
- 悲しませて
- 散らばった
- 溺れる様な
- ポイして
- 傷
- 縋っていて
- 誰かのせい
- 辛かった
- 非凡
- 鬱
- 呑まれていた
- 見せられぬ程
- だらしない
- 虚しさ
- 不安
- 冷えた
単語を連ねたストーリーの再描写
感情が震え狂い捨てる難儀の中、羽ばたかせ千切れる。残酷な鐘が響き孤独に嘘をつき、散らかった思考に呑まれそうになる私を愛してほしい。飾られず私だけの色で描いて。花は咲かず散り、悲しませ歓ばせて。理想に溺れる私をポイして。辛い鬱に呑まれ、だらしない私を描き、虚しさ、不安のループで許して。冷えた部屋の影を探して。私だけの色で描いて。
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